少年サッカー指導メモ

トレセンに選ばれるかどうかより大事なこと——選考の裏側で見てきたこと

少年サッカー指導メモ

「トレセンに選ばれるためにはどうすればいいか」という質問をよく受けます。私の結論は、選考会の時だけ選考員の好きそうなプレーをする、ということです。ただ、これは選考の仕組みを知った上で、それでもトレセンに入る入らないをあまり気にしすぎないでほしいという話でもあります。私が選考する側に立った経験や、実際に見てきたことを振り返ります。

選考員の好きそうなプレーとは

選考員の好きそうなプレーとは、個性を殺して組織プレーに徹する、徹底的にパス&コントロールの駒になることです。ある程度のスキルはもちろん必要ですし、これはあくまでも私の個人的な一つの意見でこれが全てではありません。

なぜこう言えるかというと、選考は選考員の好き嫌いが大きく影響するからです。しかも選考会は2日から3日ほどしかなく、子どもたちはその短い時間でアピールしなくてはいけません。選考員はまともにしっかり一人ひとりを見ている時間がありません。

選考する側として見てきた現実

私もジュニア、ジュニアユース年代を見ていた時に何度か選考する側でやったことがありますが、明確な基準はなく、選考員の好き嫌いがかなり影響することが大いにあります。

特に地方のトレセンになればなるほど、その影響が大きいように感じます。例えば、その県のドンみたいな人がいたら、その方の一声でトレセンに入ったりもします。本来はこんなことではダメですが、これが実情です。もちろん、しっかりした基準があって選考している県もあります。

私がいた県では好き嫌いがハッキリ出てしまい、「あの子が入らないんだ」「なんであの子が入るの」という現象が多々あり、周囲のコーチらから首をかしげる選考が普通に行われていました。これは素人の親御さんが見てもわかるくらいでした。

なんであの子入ってるの?

 

あんなにドルブル上手なのにあの子は入らないんだ?

なんで??

個性の強い選手ほど選ばれにくい傾向

そして、私が指導したクラブチームに所属している選手はほぼ選ばれないことが多かったように思います。私の指導は個性を育てるところが強く、その子の強み、武器を磨いて怖い選手の育成が中心だったところもあり、この育成はトレセンの考えには合っておらず、暗黙のルールというか嫌われているのか、ドリブル中心の子どもは選ばれず、グループ戦術ができる子(パス&コントロール)が選ばれている傾向が強かったです。

これはどこの県も同じように見えます。個性の強い子は除外されて、組織プレーの駒になれる選手が選考されることが多かったです。そのため選ばれた選手の個性はあまりなく、みんな同じような選手しかいないという、面白くないメンバーになる印象が強かったです。

なぜこのような選考になるのか

なぜこんな現象が起きるのか。これはいくつかの理由がありますが、私見として以下の2点があると考えています。

  1. 選考員は片手間でやっていて選考するための十分な時間がないこと
  2. JFAの指導方針が個性をあまり重要視していないこと

1つ目の理由は、本来は協会から選ばれたトレセンの監督、コーチらがリーグ戦やカップ戦、練習試合など全ての試合を見て、気になる選手や光っている選手を長い時間をかけて見て選考するのが理想の形です。しかし協会の予算の問題や、片手間でやっているため時間が取れない問題があり、そこまでやってられないのが実情です。みんな自チームのことで頭がいっぱいで、そのため2日3日で選考するしかありません。

JFAの指導方針が影響している面もある

2つ目の理由は、JFAの指導者育成の過程で、各ライセンス(C級、B級、A級など)の講習会の中で必ず行うグループ戦術(パス&コントロール)の練習メニューがあり、講習を受けた人たちはそれに従ってやっている人が多いからです。

JFA自体が個性を育てる育成ではなく、日本人の勤勉な特性とみんな同じ横並びな教育が大きく影響しているせいなのか、グループ戦術の練習が多く、同じような選手を育てる育成になっているように感じます。南米のような個性あふれる選手が日本から出づらい原因の一つであると、個人的には思っています。

選考の場だけ演じるにも一定のスキルが必要

なので、冒頭でお伝えしたように、トレセンに選ばれたいのであれば、そのような選手になりきる必要があります。もちろん、なりきらなくても元々そこに合致している選手であれば、なりきる必要はありません。

ただ、選考の場だけ選考員の好きそうなプレーができる選手は、そもそもスキルがないとそこだけ演じることはできないので、これができるくらいのそこそこのスキルは必要です。これができない時点で選ばれることは難しいです。例えば、普段はドリブラーだけど選考会ではパス回しの駒にもなれる、というような感じです。

トレセンに入る入らないは気にしなくていい

親御さんはトレセンに入った入っていないなど気にしている人が多いですが、実はそんなことは全く関係ありません。入っていなくても全く気にする必要がありません。入っているから将来有望、入っていないからうちの子はダメだ、みたいに悲観的になることは全くないです。

上記の2つの理由で、本来選ばれるべき選手が漏れることは多々あります。そもそもそんな短い時間で選考はできないからです。むしろ、選考に一喜一憂するよりも、目の前の練習や試合でどれだけ成長できているかに目を向けてあげる方が、子どもにとってはずっと大切だと感じています。

トレセンに縁がなくても活躍する選手はいる

私の知っている選手でも、小学、中学は全く無名でトレセンには一度も選ばれていない子が、スーパードリブラーで高校で開花して高卒プロになっています。少し前の日本代表だった内田篤人選手や現代表の伊東純也選手に関しても、小学、中学の頃はトレセンとは無縁で、地域トレセンにすら入っていません。

トレセンに入って成長する子もいますが、入っていなくても成長する子もいます。私自身、小学校、中学校時代はトレセンすら知らなかったですし、当然トレセンとは無縁でした。それでも大学でプロから声がかかりました。怪我で断念していますが、本当にあまり関係ないんです。トレセンはあくまで一つの選抜、育成の場に過ぎず、将来の活躍が決定するわけではありません。

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