少年サッカー指導メモ

大学3年の息子が経験している怪我との闘い——プロを目指す長い道のり

少年サッカー指導メモ

長男は今、大学3年生です。関東の強豪大学からJ1、J2の3チームから声がかかるまで成長してくれましたが、大学2年の春から1年半、怪我でサッカーができない状況が続いています。指導者として、そして親として間近で見てきた長男の歩みと、今の状況を振り返ります。

長男がサッカーを始めたきっかけ

長男は当時私が指導していた街クラブに年中から入りました。私がサッカー経験者だったので、子どもにもサッカーをやってほしいなあと思い、当時はサッカーのDVDをたくさん見せたりして興味を持つように仕向けていたのを覚えています。

何度も現場に連れていき、サッカーを生で見せたりもしていましたが、長男は全く興味がないようで、練習している隣にある遊具でずっと遊んでいました。最終的には同じ年くらいの子どもたちの中に強引に入れてみてサッカーをさせたところ、楽しかったのかそのまま始めた経緯があります。ジュニアユースまでは当時私が指導していたクラブでサッカーをやり、高校からは県外の強豪高校に行きました。

大学3年目までの順調な歩み

そんな長男は今は大学3年生です。関東の強豪大学(関東1部)から声がかかり、1年生からスタメン、デンソーメンバーに選出されて、現在はJ1、J2の中の3チームから声がかかるまで成長してくれました。

しかし、現在は怪我が長引いて大学2年の春から1年半サッカーができていない状況です。声をかけてくれたJの強化部の方からは怪我が治るまで待ちます、ゆっくり怪我を治してくれとは言われているものの、本人には少し焦りもあるようです。

天皇杯予選での最初の肉離れ

大学2年の4月の天皇杯の予選準決勝で、左ハムストリングの肉離れです。ちょうどその試合は私も現地まで見に行ったので、私の目の前でハムの肉離れをして退場していました。全治2か月の診断でした。

この時はまさかここから1年半もサッカーができなくなるとは想像もしていませんでした。大学に入って1年生からスタメンで関東1部で出続けて、その勢いでデンソーメンバーにも入って、強度の高い試合が続いていたので、怪我をしてもおかしくない状況でした。これはサッカーの神様が休みなさいと言っているように私は思いました。

繰り返す肉離れとの闘い

2か月ゆっくりしてまたサッカーをやればいいと簡単に思っていましたが、6月の復帰戦でまた同じところの肉離れ。肉離れは繰り返すとは言いますが、まさに繰り返して今度は前回よりも重たい肉離れのようで、またしばらくサッカーができない状況になりました。

全治4か月です。そして10月の復帰戦、後半からスタートです。裏に出たボールに対して抜け出してスプリントをしている時に肉離れの再発、後半から入ってボールに一度も触ることなく退場となりました。後から聞きましたが、この時、本人は泣いていたようです。

自分自身の怪我でプロを断念した過去

ここまで続くとさすがにこの時、私の内心は不安がすごくありました。なぜかというと、私も大学当時、怪我は違いますが長男と似たような状況を経験しているからです。大学サッカーでプロから声がかかりましたが、3年の夏に大怪我をして最後まで怪我が響いて100%でサッカーができなくなってしまい、プロを断念した過去があります。

この時は歴史は繰り返してほしくないと強く思いました。そしてここから、本人はさらに小さな肉離れを繰り返すことになります。治ったかと思いサッカーをやると小さい肉離れが起こるのを繰り返していました。

完治を目指した試行錯誤の日々

サッカーで肉離れをやったことがある人ならわかる方もいると思いますが、治ったと思って走ったり、ボールを蹴ったりすると、肉離れした箇所が「ピキッ」とする感覚があります。表現が難しいのですが、このピキッとした感覚がある以上、また再発する怖さがあり、100%でサッカーができない状況です。

この感覚が出た時にMRIで見ると、少しの出血が確認できます。昨年の10月から本人は完治させたい一心で色々試行錯誤します。京都や奈良の治療院に行ったり、高校時代の恩師の紹介で横浜の肉離れ専門のストレッチ、マッサージ系のお店に行ったり、肉離れについて詳しく勉強したり、リハビリの方法を変えてみたり、ヨガやピラテイスをやったりと様々なことをやっても、なかなか本来の100%のパフォーマンスが出せない状況は続きます。

このように色々試して安静にして治ったかと思ってサッカーをやってまたピキッとした感覚が出て100%できなくなってを何度も繰り返すと、完治するのだろうかと不安になり、モチベーションも下がります。一時期は真剣にサッカー以外の選択肢も考えるほど真剣に悩んでいました。私も親としてこんな状況を見ると辛いものがあります。できる限りのことはしてあげようと思っています。

親として、指導者としてかけている言葉

私からの声かけは、一人で悩まず色んな人に相談しろ、ということです。一人で悩んで一人で結論を出すのもいいですが、どこにヒントがあるかわからないですし、私がプロを断念した時は誰にも相談せず一人で苦しんでいた記憶があり、もっと色んな情報を取るために相談をすればよかったという後悔があるからです。

また今までが順調にきていたので、サッカーの神様は試練を与えているとだけ言っています。超えられない壁は与えられないから、苦しんでもがいて超えられればプロにはなれる。肉離れの専門的なことは私はわからないので、精神論だけ言ってそれ以外の声かけはしていません。

これは本人にしかわからない部分も多々ありますし、この状況を自分で考えて、行動して、やり切って、その先にプロになれればこの乗り切った経験はその後も生きますし、なれなかったとしても夢に向かって苦しんだ経験はその後の人生に必ず生かせるからです。

怪我をしない選手がプロになる、という実感

私も監督、コーチをやっている立場なので、怪我でプロを断念した選手を多く見てきました。私の肌感ですが、プロになる選手は怪我はほとんどしません。してもすぐに復帰しています。要は体が相当丈夫で、スーパーアスリートです。年間通して強度の高い試合を高いパフォーマンスで出続けられる選手はプロになっています。

あるチームの強化部の方と話をした時に言われていたことですが、大学の関東や関西、東海リーグで出続けている選手を取れば間違いはないと言っていました。これは本当にそう思います。

長男はまだ頑張っているのでこんなことは今は本人に言えませんが、よく「あの選手は怪我さえなければプロになっていたのに」と言われる選手がいます。これは間違いで、「怪我するような弱い選手だったからプロになれなかった」が正解だと、私は思っています。

親として見守る今

長男の今後はまだわかりません。声をかけてくれているチームは待ってくれていますが、本人の怪我が完治するかどうかは誰にもわかりません。それでも、ここまで諦めずに試行錯誤を続けている姿を見ていると、結果がどうであれ、この経験は長男のこれからの人生の糧になると信じています。

親として、指導者として、これからも見守りたいと思います。長い指導者人生の中で、これほど近くで一人の選手の怪我との向き合い方を見続けたのは初めてです。この経験を通して、自分自身の指導観にも改めて向き合わされています。

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