少年サッカー指導メモ

ボールポゼッション練習で選手が育たなかった理由——監督8年で気づいた自己満足の指導

能登島グランド画像 少年サッカー指導メモ

この記事で伝えたいのは、「良い練習」は指導者の理想だけでは成立せず、子どものレベルに合っていなければ意味がないということです。私はバルセロナ流のボールポゼッションに憧れ、その練習ばかりを続けた結果、得点力もロングキックも1対1の強さも失うという失敗を経験しました。

そこから立て直すために取り組んだのが、基本に立ち返った1対1の反復練習です。「上手い選手」ではなく「怖い選手」を育てるという指導観にたどり着くまでの過程を振り返ります。

「自己満足の練習」だった ― バルセロナに憧れた指導が教えてくれたこと

練習をやるたびに手応えを感じていた時期があります。バルセロナのようなパス回しを目指して、毎日ボールポゼッションの練習に取り組んでいました。ところが試合では勝てない。得点できない。何かがおかしいと感じながら、しばらくその原因に気づけずにいました。後から振り返ると、それはコーチである私の「自己満足の練習」でした。

子どものレベルを見ずに理想を押しつけていた

バルセロナのボールポゼッションを再現しようとしていた私は、「この練習をやれば上手くいく」と信じて疑いませんでした。でも現実は違いました。ボールをしっかり止められない。正確に蹴れない。そういう選手にボールポゼッションの練習をしても、まったく意味がありません。

止める・蹴るの基本があって、初めてポゼッションは成り立ちます。順番が逆だったのです。子どものレベルを見ずに、自分の理想だけを追いかけていた。それが当時の私の失敗です。こういうコーチは、世の中に多いように感じます。

ボールポゼッション偏重で起きた3つの問題

①得点が入らない

サッカーの目的はゴールを決めることです。ボールポゼッションはあくまで手段であって、目的ではありません。ところが私も含め多くのコーチは、ボール支配率に目がいきすぎて「ボールを回せている=良いサッカー」という勘違いをします。パスを回すことに酔っている状態です。これでは点が取れるはずがありません。

②ロングキックが蹴れなくなる

ショートパス中心の練習ばかりやっていると、長い距離のキックをほとんど蹴りません。その結果、蹴れなくなっていきます。シュートも同じです。

③ゴール前で勝負できない

ボールを失いたくないという意識が強くなりすぎて、ゴール前で詰まったらすぐバックパス、という選手が育っていきます。私自身、「無理せず下げろ」と現場で言っていました。その結果、ゴール前の一番大事な場面で仕掛けられない選手を、私が作ってしまっていたのです。ミスを恐れて何もしない選手の出来上がりです。

立て直した方法——1対1の反復

ボールポゼッションの練習をいったん完全にやめました。代わりに集中したのは、目の前の相手を剥がす練習です。ゴール前での1対1を繰り返す。攻撃側はシュートまで。守備側はシュートを打たせない。この練習を徹底しました。

ここで大事にしたのは「10回チャレンジして1回成功すればOK」という意識の植え付けです。ミスはいい。ミスを恐れてチャレンジしないのがいけない。この考え方を繰り返し伝えることで、子どもたちがゴール前でも仕掛けるようになっていきました。10回に1回成功する選手が、2回・3回と増やしていく。3割成功すれば、それは素晴らしい選手です。

「上手い選手」ではなく「怖い選手」を育てる

私の指導の軸に、この考え方があります。上手い選手は世の中にたくさんいます。でも怖い選手は少ない。怖い選手、特徴のある選手を育てるためには、その子の得意なプレー、好きなプレーが何かを見定める必要があります。

その得意なプレー、好きなプレーを磨いて武器にすることで、初めて怖い選手、特徴のある選手に育っていきます。これをやらなければ尖った選手にはならず、平均的な上手い選手で終わってしまいます。ポゼッション偏重の指導が長く続いた結果、選手として特徴がなく全員が同じような選手になっている。

金太郎飴のようなイメージです。ゴールを奪うことが最終目的です。ボールポゼッションはそのための手段のひとつにすぎません。流行りに引っ張られて目的を見失わないこと。監督を8年やって、それが一番の教訓です。

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